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新CPU「Core2Duo」大ヒット!
<2006/08/23 更新>
Intel社より発売された「Core2Duo」が、電脳街アキバの組立PCショップで尋常でない売れ行きだ。なじみの店員さん曰く「こんな売れたCPUここ数年観てない。」との事。
ではなぜ、倹約家で、性能表のみならずネットの掲示板、店頭デモ、友人へのリサーチを繰り返さなければ買い物をしないアキバ玄人達が、初物CPUを買い漁っているのか?
その理由が知りたくなった。
早速アキバのショップに聞くと「完売。入荷。完売。の繰り返し、、、」だそうだ。
老舗ショップでは「ウチは入荷量が少ない上に価格も高かったから売れないと思っていたが、土曜の夕方に1個売れたら閉店前に駆け込みで全部売れました。」
いろんなショップで話を聞きながらアキバを歩くと、あるショップの店頭では「福引大会」が行われている。
よく観てみると「Core2Duo購入権利」の抽選大会である。さらによく観ると、他店のスタッフさんが並んでいるではないか!
あまりにも気まずかったので、顔を伏せてその場を立ち去った。
Intelが戦略的な価格設定を行ったことも幸いしているが、Core2Duoまぎれもないヒットだ。

現代、携帯電話の力により、ショップの価格情報や、在庫状況はリアルタイムにNETの掲示板で更新され、口コミの伝播は凄まじいスピードだ。
初期に購入したユーザーがレビューを公表し、大手掲示板で情報交換が成され、価格対性能比が良いモデルの洗い出しが数日で完了する。
かく言う自分自身も、掲示板の情報に目を光らせている。

ここまで売れる理由は、PC組立ユーザーには明白かもしれない。
言い方が悪いが、WindowsXP発売以降CPUの処理速度の向上は、急速に鈍化していた。
新しいCPUは、買い換えるほどのモデルチェンジが行われない車と一緒だ。
リスクを許容してまで処理速度向上したり、性能を先鋭化する組立ユーザーからすれば、
「買い換えたくなるほどの技術進歩を見せてみろ!」が本音だったろう。
ショップ店員も同じだ。
「CPUメーカーは高速化の先に発熱問題があるのは判っていたはず。判っててやらないのは怠慢だ。」
みんな気持ちは一緒だ。メーカーに期待しているからこそ厳しいのだ。
Core2Duoのおかげで、Intelは危機一髪セーフと言ったところだ。

組立ユーザーの情報収集能力は非常に高い。
CPUの価格相場の変動が規則性を持っている事は広く知れ渡っており、言い方は悪いが紛い物は売れない。
だからこそ今回の「Core2Duo」のヒットは、関係者全てにとって非常に良いニュースだと言い切れる。
メーカーや販売店の思惑ではなく、ユーザーが支持した結果「Core2Duo」の価値は証明された。
しかもライバルAMDも黙ってはいない。WindowsVistaも控えている。
ユーザーにとっては喜ばしい競争が増えそうだ。

手放しで喜ぶと後が怖そうだが、今回に限ってはそれは杞憂かもしれない。
Intelが、Core2Duoで「根本的なモデルチェンジ」を行った事実は計り知れない。
そしてCPUの変化は当然、WindowsPC自体の「根本的なモデルチェンジ」の前兆だ。
しかし話は更に大きく広がる。
WindwsPCだけではなく、デジタル家電や、次世代携帯電話、ネットワーク全ての大きな変化の前兆だ。
ここ最近伝えられたCPUやGPUに関係したニュースには、その大変革の前兆が現れている。

■CPUから見える大変革の予兆
まず現在のPCの事を確認しよう。下記はあくまでも調査機関の数字なので正確ではない事を前置きする。
2005年のPC(デスクトップ、ノート、業務用サーバー)世界出荷台数、約2億800万台。
対2004年から台数ベースで16.4%成長した計算になる。今年2006年は10%以上は成長すると言われている。
結論は「PCは必需品」に成った。今更のようだが、「必需品」の責任と義務は重い。

あまりにも大きなPC市場は「急激な変化や成長が出来ない」事実に直面している。
言い換えれば、OSもCPUもメーカーのエゴだけで成長も変化も出来ないと言う事だ。
その事実を踏まえて、Intel社が投入した「Core2Duo」を捉えた時、これから起きる事が怖くもあり、楽しみでも有る。

未来の話を始める前に、キーワードが2つ。いずれもメーカー公表値です。
①2005年のAMD社製CPU生産量≒4600万個(CPU市場全体の20%以下)
②IBM社の2005年度総収益911億3,400万ドル=10兆円以上(ちなみにIntel社は約4兆4620億円)

□AMDのATI買収
 簡単に言えば3つの目的により行われた合併です。
 「新技術開発」「製造数量アップ」「コストの削減」
 ただし、現状を見ると大きな問題を含んでいる。
 「AMDのCPU市場売上台数=①」と「ATIとIntelの深い関係」だ。
 AMDは生産数量をアップしても、今までどおりの売上台数規模なら「作りすぎ」に陥る。
 すなわち、生産量増加には根拠(大口顧客)が必要だ。
 ATIは、Intel社と共同で「グラフィックエンジン統合型マザーボード」や、その他の技術を開発してきた。
 事実ATI社は、数量だけならAMDを大きく上回る1億台以上のGPUを2005年に出荷している。
 現状を考えたら「お互いリスクが多い」合併なのだ。
 その答えが他のニュースにつながっている。

□PCメーカー大手DELLがPCコンシューマー向けPCでAMD製CPUを採用。
 DELL社の家庭用PCには、今までIntel社製CPUのみを採用していたが、今後はAMD製CPUも採用すると発表した。
 AMDにとって、家庭用PC市場最大手のDELLだけは落とせないでいた。10年もの間だ。
 ただし現状で観たら、家庭用PC市場全体への影響は、さすがのDELL社といえども小さい。
 だが、最も互換性と安定性を要求される家庭用PC市場でAMD製品を認め、部品調達のコストに最もウルサイ同社が採用した事は大きい。
 いままで独占状態だったIntelにとっては価格的にも性能的にも今まで以上の差別化が求められるようになる。
 ユーザーにとっては、メーカー間の競争が加速する恩恵は多い。
 AMD&ATIの「新技術開発」の一つが、より親和性の高いGPU統合マザーボードだろう。
 ミドルレンジのGPU性能を、低価格のマザーボードのみで実現できることが大きいだろう。登場は2007年後半と予想される。
 結果、「製造数量アップ」による「コストの削減」が実現できる。
 DELLとIntelの蜜月を破り、今まで0だった市場を開いたことは大きい。

□業務用コンピューター最大手のIBM社が、AMD製CPUを採用し、同市場での連携強化を発表。
 一般市場には関係ない事と思われがちだが、そんな事は無い。
 24時間365日常時稼動する事が求められ、更に耐久年数も長くなければ成らない「大型PC市場」で生まれる技術は非常に重要だ。
 CPUの技術が進化した最大の要因の一つが、「企業の必須設備」化したPCの存在に有る。
 先のCore2Duoに込められた技術も、サーバー用CPUで実践された技術の応用だ。
 「省電力=低発熱」
 コア=中央演算処理チップであるCPUの心臓部を、高密度化する方針を止め、効率のより構造を採用したため、発熱が下がった。
 「高性能=複数コアの並列化」
 コアを複数搭載することにより、処理速度を館単位向上できる。発熱が比例して上がらないのは上記の説明どおりコア単体の構造を効率化した事による。
 「低コスト=複数コアの並列を1チップに納めた事」
 一見、複数のコア=高額に成りそうだが、CPUは今までも同性能のCPUであれば、1~2年のサイクルで約半分の大きさに縮小化できる。
 CPUのコストを下げるには、同面積により多くの性能を搭載することだ。コア単体の微細化が最大の障害だったため開発費の非効率な向上から開放される。
 
 今後も、CPUの革新は大型PC市場市場から始まる。既に電話機以上のOA必需品で有るPCの宿命だ。
 IBM社が大きく関与しているCELLの技術をAMDが最様子R可能性は十分有る。
 GPUメーカーATIを持つ、AMDにとっては「汎用性」「先進性」という相反する課題をクリアするには必須の流れともいえるからだ。
 CELLの複数コア並列技術と、AMDのコア個体の集積化技術、ATIの先鋭化した高速化技術が合さったCPUの登場は、ユーザーとしては期待したい。
 適正な価格で、高性能なPCが供給される事が、ソフトの開発を含めたPC市場の成長につながるからだ。
 
□IBM、SONY、東芝、AMD(&ATI)は半導体製造の新技術「45nmプロセス」を共同で開発中。
 現在、市販されているCPUの製造技術は「90nm」が多数を占める。
 年内に普及速度が増えるのが「65nm」で、今年後半から来年1年程度で完全に移行する。
 その後に控えるのが、「45nmプロセス」だ。
 「××nmプロセス」とは、CPU内部の最小トランジスタ配置を微細化する技術のことだ。
 簡単に言えば、同じ大きさのシリコンから、より多くのCPUを作り出す技術だ。
 これが実現するからこそ、コアを複数搭載したCPUの製造が「低コスト」に成る。
 当然、Intel社も研究をしている技術だが、IBMを中心に技術開発を共同で行っているSONY、東芝、AMD(&ATI)の半導体設備投資額はIntel社を上回る。
 ATIがAMDの合併を受け入れた、大きな理由の一つだろう。
 この連合体は、互いに製造工場を分業化することも視野に入れており、1社で開発&製造を行うIntel社は設備投資の効率化や、工夫が必要に成ってくる。
 Intel一人勝ち状態は、「45nmプロセス」商用化の時期で、大きく変化しそうだ。

□AV家電メーカーの最大手SONYから発売されるPlaystation3に搭載するCPU「CELL」を、IBM、東芝と共同で開発。
 CELLは、IBMが10年以上前から取り組み、最近までApple社に供給してきたCPU技術(RISC)による、次世代CPUの一つの形だ。
 1機のメインコアと、8機のサブコアで構成された多コア並列CPUだ。非常に計算能力の高い計9機のコアで構成されており、処理速度は非常に高い。
 Intel社のCore2Duoで実現している「複数コアをCPU内部に並列配置」したCPU技術の先駆けだ。(製品が市場に出ていないので正しい表現ではないが)
 複数コアを内部に並列配置したシングルチップ設計を例えると「様々な種類の問題を、超人的に処理能力の優れた万能タイプの数人に託す」といえる。

 逆に、Core2Duoなどのx86系CPUが、CELLなどと同じマルチコアに方針転換した理由を擬人化して例えると、
 以前は、「様々な種類の問題を、それぞれの専門家に任せて処理するために、体の小さな専門家を集めて詰め込んだ。」
 しかし昨今「決まった広さの部屋に入れる人数の限界がある」「人の体をこれ以上小さく出来ない」問題が顕在化した。
 結果「沢山の人を詰め込んだ部屋は、空気(電気)の流れが悪くて空調(冷却)する為に巨大なクーラーを取り付けている。」

 CELLや45nmプロセスについて注目したいのは、IBM、SONY、東芝、AMD(&ATI)はそれぞれ得意分野が違う事だ。
 IBMは、次世代OS開発、業務用大型PC(CELL系サーバー、ワークステーション)、産業製品用半導体。家庭用PC市場は中国企業に売却済み。
 SONYは、家庭用PC、家庭用ゲーム機、Blu-ray機器市場、デジタルHD対応家電製品(Playstation3が主導、他はテレビなど)、デジタル放送機材
 東芝は、携帯電話用MCP(=マルチ・チップ・パッケージ=携帯内で使われる各種コントロールチップをいつにまとめた物)、デジタルHD対応家電製品(テレビほか)
 AMD&ATIは、家庭用PC(詳細に言えば、低コストPC)、業務用大型PC(x86系)、家庭用ゲーム機(Xbox360にATI社がGPU技術を提供中)
 一部重複はするが、競合による甚大な被害は無い。
 Intel社もPC以外の市場に進出しているが、より先鋭化&専用化したCPUが求められる市場に向けた開発は上記連合には及んでいない。
 しかし、時期に差は有ってもIntelが、何が何でも45nmプロセスの商用化を果たすのは間違いない。


 「コストを下げながら、技術開発を行う」ハードには絶対必要な原則でも有る。
 ユーザーにとっても喜ばしい事だ。
 だが、ハードの進化には大きな問題として「ソフトがついて来る必要が有る」これからソフト本質的に進化しなければならない。
 今までは、CPU単体の処理速度がソフトウェアの処理を高速化していた。CPUを買い換えていけば処理が早くなった。
 しかし今後は、CPUを複数個利用したプログラムが必要だ。並列処理や、分散処理を行って、より早い結果を得られなければ成らない。
 ユーザーは「コストに見合った進歩」が必要だ。これには企業も、個人も関係ない。
 そしてこの事が、PCにとっての大きな転換点に成ると考える。
 理由は、WindowsPCが絶対的な必需品であるビジネス分野に見合った成長をしなければ成らない事。
 一方、個人ユーザーのニーズは、今後より多様化していく事による。
 PCが汎用で無ければいけない呪縛から解き放たれる時期にきている。
 上で書いたCELL陣営は、それぞれの得意分野で優位な立場を得ていくだろう。
 Intelや、Microsoftに課せられた使命は、一定の自由度を保ちながらビジネスシーンで実力を発揮できるハードとソフトの連携だ。
 ある程度の汎用性低下をユーザーが受け入れる必要が有るだろう。
 新たな進化の道程に入ったPCを、有効に利用するのはユーザーの側がニーズを見出していく必要が有りそうだ。
 

□WindowsPCのハードとソフトが大きく進化する。
 大きく顕在化するのは、Microsoft社のWindowsOS新バージョン「WindowsVista」の登場後の来年初頭以降だ。
 それに合わせて低コスト化や、技術開発しているのが、次世代DVD「Blu-ray」「HD DVD」などだ。
 それぞれ既に市販されているが、再生機能を多くのPCが実現できるのは年末頃のモデルからだろう。
 組立ユーザーにとっては、既に再生であれば必要十分のシステムを組むことができるが、再生ですら安定して行うにはコストの問題があり、より多くのユーザーが次世代DVDを利用できるのは年末以降だろう。
 コスト低減の根拠は、Core2Duoの値下げ、WindowsVistaの登場に併せた「次世代DVD再生&録画ソフト」の登場が条件だからだ。
 PCが次世代DVDの為だけに性能アップするわけではないが、HDコンテンツをスムーズに扱える事は=高性能化の目安になるだろう。
 Core2Duoで垣間見たPCの将来を、WindowsVistaが成長させる事を切に願う
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